◇プロボクシング WBC世界フェザー級タイトルマッチ 王者 ブランドン・フィゲロア(米国)<12回戦>同級2位 スティーブン・フルトン(米国)(2025年2月1日 米ネバダ州ラスベガス T-モバイル・アリーナ)
ブランドン・フィゲロア(米国):前WBA・WBC世界スーパーバンタム級チャンピオン、現WBC世界フェザー級チャンピオン。俳優のような前甘いマスクに似合わないベタ足ゴリゴリのファイターで、常に頭をくっつけ接近戦をいどみスイッチしながら細かい連打を浴びせ続け、相手の心を折ることから”ハートブレーカー”と呼ばれる。
スティーブン・フルトン(米国):前WBC・WBOスーパーバンタム級チャンピオン。豊かなスピードとフットワークにクリンチワークを中心とした高いディフェンス技術で相手を塩漬けにし、ポイントアウトするボクシングスタイルは時に退屈ともいわれるが、堅実なスタイルで確実に勝利を積み重ねて2団体統一チャンピオンとなるもその後井上尚弥に敗れ王座陥落。フェザー級に階級を移し王座返り咲きを狙う。
なお両者は2021年11月27日にWBC・WBO世界スーパーバンタム級2団体統一戦としてラスベガスのパークMGM内ドルビー・ライブで対戦。”ハートブレーカー”フィゲロアが得意の接近戦に持ち込もうと前進を続けるも、フルトンが要所で細かいパンチを浴びせながらクリンチを中心に12R捌き切って2-0の判定勝利。内容は拮抗しておりフィゲロアは勝利を主張しリング上が騒然とするなど物議をかもす僅差の戦いとなった。
フルトン:井上尚弥とのSバンタム級タイトルマッチ
ご存じのように2023年7月25日に有明アリーナでWBC・WBO世界スーパーバンタム級チャンピオンとして、バンタム級で4団体統一を果たして階級を上げてきた井上尚弥を迎えタイトルマッチを行ったフルトン。井上の強いジャブ・フットワークに加え大きく速い踏み込みのボディジャブを終始くらい続けポイントを先行されるとともにダメージを蓄積。8Rにそのボディジャブ→顔面への右ストレートの電光石火のコンビネーションでぐらつき、立て続けに飛び込みの左フックを食らいダウン。何とかたったものの井上の連打になすすべなく再びダウンとともにストップ、TKOで敗れた。
第1戦と同様の展開ながら、、フルトン完勝
スーパーバンタム級での対戦以来3年2か月ぶりの対戦となった両者。序盤からフィゲロアは前進し頭をくっつけ接近戦で連打を当てたい展開なるも、フルトンのジャブがよくフィゲロアはポイントを取られるのを嫌ってかやや距離が遠めから入っている印象で、フルトンは前進に合わせやすく入り際の右のストレートが効果的で明確なダメージでないながらもフィゲロアの顔を跳ね上げる場面が多く、ジャッジには非常に有効にアピール。フィゲロアは接近しても手数が少なく、アッパーとボディに活路を見出そうとするもフルトンのブロッキングとクリンチに阻まれる展開。そのまま終盤まで進み、終盤はフルトンが再度的確にパンチを当てながら接近戦をこなして逃げ切り、117-111,116-112×2の3-0でフルトンが完勝。
フルトン:本来の姿を取り戻す
よくも悪くもコレがフルトンの本来の姿。前戦のカストロ戦では攻め気が強く感じ、勝利したもののダウンを喫するなど井上戦以降スタイルを模索している印象だったが今日は違った。しつこく前進するフィゲロアを真正面から迎え撃ち、入り際に細かいジャブに加えストレートやフックなど右を主体に効果的にパンチを当てる。序盤は右のダメージパンチでフィゲロアが効いたそぶりを見せる場面も。接近してからはガード・ブロック・クリンチと攻め手を封じて得意の塩展開に持ち込んだ。
フィゲロア:手数少なく、、戦略が裏目か
戦前には「前戦はジャッジにアピールできるパワーパンチが少なかった」と反省の弁を述べており、今回いつものコツコツジャブが減りややパワーパンチ主体としているようだった。その分フルトンは前手のコツコツがない分入り際でパワーパンチが当たりやすい印象。動きも少なくくっついても手数が出ず、中盤ボディを中心に盛り返そうとする雰囲気があるも逆にフルトンにフックを当てられるなど終始劣勢。本来の攻撃的なボクシングができずブーイングを浴びる場面もあり良いところがなかった。。
フェザー級:すでにメインターゲットは井上尚弥
井上尚弥:Sバンタムのリミット122ポンド (55.338kg)に対し、フェザーは126ポンド (57.153kg)。2kg弱のウェイトアップに対しこれまで慎重な立場を貫いていたが、一方で明らかにフェザーを見据えた肉体改造を続けていた。直近の試合(2025年1月24日、対キム・イェジュン、4RTKO勝利)では62.9kgと自己最重量となったがナチュラルな仕上がりだったとしており、すでにフェザー級に向けた見通しが立ったということらしい。
井上陣営はキム戦後、2025年春にラスベガスでSバンタム級WBC1位アラン・ピカソ、その後WBA暫定王者のアフマダリエフ、その次にSバンタム王座を維持しながらサウジでWBAフェザー級のニック・ボールに挑戦し、その後にSバンタムでの中谷戦という仰天のプランを明かしている。
ニック・ボールはイギリスの27歳、21勝12KO1引き分け。2024年6月にレイモンド・フォードに判定勝ちでフェザー級のWBA王座獲得。身長157cmとフェザー級としては圧倒的な低身長でゴリゴリのファイタースタイル。KO率も高く好戦的で井上とはかみ合うこと間違いなく、盛り上がりが期待できる。
他フェザーのチャンピオン:
WBC:スティーブン・フルトン
WBA:ニック・ボール
WBO:ラファエル・エスピノサ
IBF:アンジェロ・レオ
うーん、フルトンは今更だしレオはフルトンにSバンタムで負けてるからな、、3階級4団体にはどこまでモチベーションが上がるか。
この中でニック・ボール戦は本当に面白そうだし、プロモーター的にもマッチメイクしやすいみたい。そしておそらく中谷戦後はエスピノサでメキシコ人なのでラスベガス必須でしょう。すべて井上選手が勝利する前提ですけど、、26年いっぱいまでは退屈しないで済みそうだ。
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